思い出し魔法
人の脳は成人で約1,300g、10歳(小学4年生)頃にこの重さへ到達し、機能的には20歳頃に完成すると聞いたことがあります。この脳は、五感で感じたことを記憶し、必要な情報を整理し、それを思い出し、人を動かしているようです。よく自身の年齢を感じるときなどに、「物忘れが多くなった」と思うことがありますが、これは「思い出す力」が少し衰えただけで、記憶されたことが無くなってしまったわけではないようです。こう思うと、確かに、小学4年生頃を境に、「記憶」に関する境界線(鮮明さ)があるような気がします。また、筋力と同じで、使わなければ衰えてしまうのが、この「思い出す」という脳の機能のようです。
この作品は、1969年のお話。右来左往さんのかけた「思い出し魔法の力」によって、その時代を「衰え」によって記憶から無くしてしまったとあきらめていた僕たちの脳から、それぞれが持っているはずの「確かなもの」を運んでくれているような気がしています。 |